というわけで、突如始まりました「刑事ドラマ回顧録」。今回話題の中心として取り上げるのは、1987~88年に制作された連続ドラマ「ベイシティ刑事」(ベイシティコップ)です。
「ベイシティ刑事」が放映開始された1987年の日本は、まさにバブル景気が始まった頃で、国鉄が民営化されJRが発足したのが1987年4月で、この民営化もバブル景気を後押しした一因とされる。そんな時代背景の中、当時の日本の刑事ドラマ界は、大ヒット作の「あぶない刑事」が1987年9月に終了し、テレビ局は次のヒット作を模索していた。
そして、1987年10月に始まったのが「あぶない刑事」と同じスタッフで制作された日本テレビ系列の「あきれた刑事」と、テレビ朝日系列の「ベイシティ刑事」である。両ドラマとも「あぶない刑事」と同じバディもので、1988年3月まで放映された。
この「ベイシティ刑事」は、日本の刑事ドラマで初めて本格的なプロップガンが登場した作品である。当時高校生だった自分は、日本のドラマでプロップガンがブローバックしてカートが排夾されるシーンを見て、衝撃を受けた記憶がある。
主演の世良公則は、1989年に制作された東映Vシネマ第1弾「クライムハンター」で本格的なガンアクションに挑んでいるが、そのルーツは「ベイシティ刑事」で演じた刑事・星野にあると思う。星野が使うナショナルマッチカスタム(通称マギー)がとにかくカッコ良くて、毎週テレビに釘付けになっていた。
同じく主演の小池警部補こと藤竜也が使用していたのが、センチネルアームズM629(通称ジョン)で、こちらもカッコ良かった・・。二人とも45オートと44マグナムという、強力なパワーの拳銃を所持していたが、犯人も普通にアサルトライフルをフルオート射撃してくるようなドラマだったので、自分としては全然OKというか、もっと激しく撃ち合ってくれ!と思っていた。
特にこのドラマでは、銃に名前を付けて登場人物の相棒のように扱っており、主人公二人の持つ銃は、ある意味三人目の主人公ともいえるほど、画面の中で存在感があった。確か、小池刑事が「ジョン」に語りかけるシーンもあったと思う。
最近の日本の刑事ドラマはリアリティ路線のため、刑事が銃をバンバン発砲するドラマは、ほぼ絶滅状態であるが、フィクションとして割り切った設定をしたガンアクション作品をもっと作ってほしいものである。
ドラマの舞台となっているのは、横浜の「港町署」という設定で、「あぶない刑事」の舞台が同じ横浜の「港署」という点も興味深い。さらにその後1989年に制作された萩原健一と南野陽子が主演した「あいつがトラブル」も、やはり神奈川県警の「港街署」という設定であった。「あいつがトラブル」には駆け出しの頃の織田裕二も刑事役で出演しており、この「ミナト」署の伝統は、やがて「踊る大捜査線」の警視庁湾岸署に受け継がれることとなった・・と勝手に思っている次第。
「ベイシティ刑事」は今のところDVD化されておらず、観る機会がないのが残念である。(今年、どこかのCSチャンネルで放送されたらしい)日本のガンアクションドラマの夜明けとなった作品なので、ぜひDVD化を・・!
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刑事ドラマ回顧録「ベイシティ刑事」編
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